次の記事を読んでみましょう。
駅伝についてなのですが。
ちなみに,この駅伝は,7区間42.195kmで争われています。




A高校は,(B高校に対して)後半も見劣りはしない。
5,6区には力のあるP,Qを配置できるし,
7区のRも実力があり,力は互角と言える。
事実,3月のY駅伝では,B高校が,世界クロカンでエースMを欠いていたとは言え,
B高校に1分33秒のリードを奪い圧勝している。




これは本当に書かれていた記事を元にしているのですが,
手元にその記事がないため,記憶を元に書いています。
とは言え本質部分に違いはありません。
この中には,事実に反する部分はありません。
でも,この記事は明らかにミスリードを狙った,悪く言えば「ねつ造」の記事なのです。
さて,そのトリックとは。

まず,そもそも1分33秒は圧勝と言えるのか,誇張ではないのか,と思われるかもしれません。
このY駅伝は,来週の全国高校駅伝と同じ42.195kmで行われ,区間配置も同じです。
そこで,データのすぐに得られる,こちらの駅伝のここ7年のデータを見てみると・・・・
1位と2位で1分33秒差以上ついているのは,2003年と2004年のみです。
どちらも,優勝は仙台育英高校で,北京でマラソン金メダルのワンジル選手,及び,
現在の5000m高校記録の佐藤秀和選手を擁していたときです。
たとえば,昨年は0秒差でしたし,確かに1分33秒は圧勝と言っても誇張ではなさそうです。
(ちなみにY駅伝の1年前,2年前の記録でも,1分33秒の差はついていません)

では,どこがいけないのでしょう。
実は,決定的にいけないのは,次の部分です。

世界クロカンでエースMを欠いていたとはいえ

これは事実です。しかし,本当は,エースMどころか,他の主力を合わせ,
合計3人欠けていたのです。
そら7人中欠けていたのが1人と3人では大違いでしょ。

つまり,都合のいい事実だけをとってきて,都合の悪い事実を「敢えて」隠したのですね。
隠しただけなので,事実には反していないのです。
でも,実質的には嘘です。エースMが出てないことを書いている以上,
他2人も出ていないことを知らなかったはずがありません。
だから,これは悪意を持って隠した,と言ってよいかと思います。

都合の悪い事実を隠す。
こうしたことは,大なり小なりどこにでもあることで,仕方のないことです。
それに,あまり目くじらを立てるのもどうかと思います。
僕ももちろんしています。(たとえば,解法テクニックを教えるとき,
細かな例外や,ちょっとした証明のごまかしは,その方がわかりやすいと思えば
そうしているときが多々あります)

でも,事実をあまりにつまみぐいしすぎて,ない話をでっちあげる,というレベルまで行くと,
これは立派な嘘となります。
特に,他人を陥れようとする場合は,そう言ってよいでしょう。
この記事は,大衆紙ではなく専門誌ですから,わかっていた人も多かったはずです。
その意味で非常にお粗末な記事と言えます。

だから,論説文,特にとても感触の良い言葉が多用されている文章は,
それが事実に合っていたとしても,注意しなければいけないのです。
このタイプの誤謬を「(事実の)つまみぐい論法」と名付けておくことにします。




さて,実は,この記事,もう1つ隠されていることがあります。
実は,Y駅伝は3/29に行われたのですが,実は3/23にはI駅伝,というものが行われていまして,
こちらには,B高校もエース級を投入し,ガチの勝負をしています。
こちらは6区間42.195kmなので,違いもあるのですが・・・・

そちらでは,4分17秒差でB高校が,それこそ圧勝しています。
まぁ,区間編成とかいろいろあるでしょうし,今から9ヶ月も前ですから,
どうこう言うこともないのですが。
(A高校も当時よりはだいぶ力をつけていますし)

普通は,こちらをとりあげるのが筋でしょうが,これを敢えて書かなかった・・・・
というのは僕的にはあまり問題にする気が起きないのは,
おそらく,どのレースを分析するのかは自由だが,1つのレース結果を曲げてほしくない,
という個人的な感情が影響しているのでしょうね。




え?お前がB高校のファンだから,文句を言いたい,と言うのが本音だろ?って?
いや,まぁ否定できないのですが。A高校も嫌いではないですよ。むしろ応援しているくらいです。
でも今年は2位ということで,譲ってくださいな。
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